「明日の高崎」荒木征二

高崎市議会議員・荒木征二の日々を書き連ねています。

第5回市議会定例会・一般質問

 あっという間に1年が過ぎ去ろうとしています。カレンダーは残すところ1枚となりました。なんという時の進みの速さでしょうか。ただただ焦るばかりです。

 

 さて、11月30日に第5回市議会定例会が開会しまして、現在会期中です。通称、12月議会です。12月議会は9月の決算議会、3月の予算議会の間にあるので、比較的目立った論点が無いように思われがちですが、市役所で新年度予算編成が佳境を迎えているタイミングで開催される定例会なので、新年度を見据えた議論のしやすい議会ですので貴重です。

 今回ももちろん、荒木は一般質問に登壇いたしました。通告しましたテーマは二つ。一つ目は「市街地開発について」としまして、高崎駅を中心とする市街地の開発、都市改造の状況についていくつか質問しました。二つ目は「社会福祉協議会との関係性について」としまして、地域福祉の担い手として大切な高崎市社会福祉協議会の自立性に着目して質問しました。

 一般質問の様子は下記にて録画配信されていますので、ぜひ御視聴ください。答弁の様子からも高崎市のスタンスがよく伝わるかと思います。

takasaki.gijiroku.com

 質問の骨子は下記の通りです(注:長文です)

 

(通告)「市街地開発について」

質問1-1「都市改造の状況」

 本市の高崎駅を中心とした一連の都市改造は土地区画整理事業と再開発事業の合併施工で成果を上げてきました。これは、土地区画整理事業で生み出されたまとまりの良い用地に高密度で高度利用の再開発建築物を立地させ、再開発建築物を呼水として周辺の土地利用を促すという一連の流れによって相乗効果を発揮してきたものと思います。

 昭和55年を都市計画元年とした都市改造もいよいよ完成の時期を迎えているように見受けられます。そこで、まずは現在施行中の高崎駅周辺地区における土地区画整理事業の状況と、再開発事業のこれまでの成果、それと今後の予定をお聞きしました。

質問1-2「土地区画整理事業の換地処分について」

 高崎駅周辺の都市改造は、高崎駅周辺(東口)地区を皮切りに城址周辺地区や西口線周辺地区などといった土地区画整理事業が実施されてきまして、そこに再開発事業が中部名店街B-1地区を皮切りとして駅東西で27地区が施行されて、現在のまちなみが作られてきました。

 再開発事業については今後も駅東西で1地区ずつ予定されているとのことですが、土地区画整理事業は駅東西で1地区ずつが現在も施行中とのことであります。高崎駅周辺(西口)地区の事業認可は昭和56年、東口第二地区の事業認可は昭和60年ですから、事業開始から40年ほどが経過しています。高崎駅を中心とした市街地は連綿と続けられてきた都市改造によって今の形となっていますが、残すところこの2地区の土地区画整理事業の換地だけとなっています。そこで、この2地区の換地処分に向けた現在の市の取り組み状況はどうか、お聞きしました。

(考察)

 土地区画整理事業は相手方のあることですし、個人の財産権に関わる問題で、市の思惑だけで進められない面があることもよくわかります。

 ですが、土地区画整理法による規制がかかり続ける状況からなるべく早く土地を解放して土地利用の活性化を図るべきと考えます。担当課においてはご苦労が多いことと思いますが、さまざま手法を駆使していただきまして換地処分に向けた道筋をつけていただきたいと思います。

質問1-3「高崎駅東西の市街地開発方針」

 古くから高崎駅周辺は西の商業、東の業務と言われてきました。全国の主要都市のターミナル駅をみても、駅を挟んで両側を同様に都市開発するというのは稀で、高崎駅周辺でも東西でそれぞれの特徴があって良いと思いますが、市では駅東西をどのような方向性をもって市街地開発を進める方針かお聞きしました。

 次に駅西口については、先ほど触れましたとおり土地区画整理事業の早期完了が望まれるところですが、ハード事業は完成形に達しています。これからは公共空間利用とソフト事業の充実が求められるところと思いますが、この点については市の方でも民間の方でも積極的に展開されていますのであえて何も申し上げることはありません。長い年月と労力を注ぎ込んで築き上げた都市基盤を存分に活用していただきたいと思います。ただ、どうしても気になるのはW1とW2です。どちらも平成2年に完了した再開発ビルで、諸事情があると聞きますが少し寂しい状況となっています。駅→オーパ→高島屋のラインと同じ条件が、駅→W1→W2に整っている訳ですので、これらストックをもう少し有効活用できないかと思います。一つの取り掛かりとして、W1に商工観光部を入れることや、W2地下に音楽関連を入れるなどして、新たな動線を作り出せれば、駅西の重層感が増すと考え、市の考えをお聞きしました。

 駅東西のメインストリートは中央コンコースです。平成17年に駅の東西改札が取り払われて中央コンコースが開通してからは、裏通りの感もある東西自由通路も使い方でさまざま可能性が見えてくる。往来する電車をウオッチングできるように窓を低くしてベンチを置くだけでも人々の集まる場所にできるのではないか。また、アートとの親和性も高い。壁天井もだいぶ傷んできて貧相なイメージとなっていることから、アートの力でイメージアップを図っても面白いのではないでしょうか。

 それに、路上アーティスト応援のために設けたステーションステージは今でも路上アーティストの方に利用されています。だいぶ放置されておりますので少しイメージダウンしている様子も見受けられますので、音楽のある街として一度テコ入れしてみても良いかと思います。

 市はこの東西自由通路をどのように捉えているか、お聞きしました。

(考察)

 高崎市は商工農のバランスのとれた複合的な側面を持つ都市だと思いますが、やはり表玄関は高崎駅であり、外から来た人々が高崎の魅力を図るのは駅周辺の賑わい景観にあるのだろうと思います。

 コロナ禍もこれまでと違うステージに徐々に移行しつつあり、私も日々観察していますが、休日それに夜間の人出もひと頃の活況を取り戻しつつあるように思います。こうしてこの難局も乗り越えつつある活力の底辺には、連綿と築き上げてきた都市改造の賜物でもあります。

 ひきつづき市には、一貫した方針を持って市街地開発を進めていただきたいと思います。

(通告)「社会福祉協議会との関係性について」

質問2-1「市からの委託・指定管理状況について」

 社会福祉協議会は民間の非営利団体ですが地域福祉・在宅福祉の担い手として大変大きな役割を担ってくれております。今般のコロナ禍においても社会福祉協議会の果たしてきた役割の大きさは今更上げるまでもありませんが、緊急小口資金、総合支援資金の特設窓口対応でも大変なご苦労があったことと思いますが、多くの市民の助けとなったところです。

 その社会福祉協議会は行政から自立して在宅福祉の視点から独自の自主事業を展開していただきたいところですが、市からの受託事業が大きな部分を占めているような状況も耳にします。

 そこで、現在の市から高崎市社会福祉協議会への委託事業を指定管理も含めて現状どうなっているのかお聞きしました。

(考察)

 中でも子育てSOSサービス事業は市民から好評であるようで何よりですが、その分、ヘルパーの方の負担が相当に高いという現場状況も伝わってきております。市の方でもヘルパーの適数配置に柔軟に対応できるよう協議してくれているとのことです。利用者にとって良い事業であるだけでなく、ヘルパーの皆さんも過度な負担を強いることのないよう、今後も適切に情報を交換していただき、より良い事業としていただくように要望しました。

質問2-2「高崎社協からの出向職員について」

 高崎市と社会福祉協議会の間では人事の往来があります。かつては高崎市の職員が社会福祉協議会に出向することもあったようですが、ここのところはありません。逆に社会福祉協議会から高崎市に出向する職員は今現在もありまして、社会福祉課と障害福祉課にそれぞれ出向しているようです。なにかしらの経緯があって出向しているのだろうと思いますが、このことが社協本体の業務停滞に繋がらないか心配をしております。まずは、どういった理由から出向してもらっているのかお聞きしました。

 また、本市へ出向してくれている社協職員の処遇と待遇はどのような配慮がされているか、合わせてお聞きしました。

(考察)

 自立相談支援事業は地域に根ざした寄り添いが求められることもあって、地域福祉の担い手である社会福祉協議会の人材に頼らざるを得ないことは理解できます。手話通訳者2名についても派遣事業を移管したことによるものと、これもある程度理解ができます。しかしながら、全体で100名少しの高崎市社会福祉協議会から6名もの出向者を出しては、日常生活自立支援事業などが手薄になってしまうのではないかと懸念されます。

 また、出向していただいている社協職員の処遇と待遇についても説明していただきました。社会福祉協議会の規定による給与額の相当額を市が負担しているとのことです。このあたりの仕組みにも懸念材料があるようにお聞きしていますので、適切な負担額となるように市と社会福祉協議会で緊密に連携していただきたいと思います。

質問2-3「高崎市社会福祉協議会の自立性について」

 行政の提供する福祉と社会福祉協議会の提供する福祉は役割といいますか、切り口が違います。1951年の社会福祉事業法の立法経緯や、制度確立当初から財政基盤があいまいだったこともあり、行政の関与が色濃い側面はあるものの、本来社協は地域福祉の担い手として自立して福祉を展開していただきたいし、もっと自主事業にも取り組んでいただきたいと願っています。しかし昨今は、グループホームや児童発達支援施設を閉鎖するなど、事業縮小の話ばかり耳に入る状況です。それぞれ理由はあるのだと思いますが、残念なことと思っております。

 採算の取れない事業であっても取り組まなければならないという、社会福祉協議会ならでは特殊事情があるため、市からの補助金に頼らなければならない仕組みとなっているが、市からの補助金はどのような積算根拠に基づいているのかお聞きしました。

 高崎市社会福祉協議会は、単なる高崎市の福祉の補完機関ではなく、社協らしさを大いに発揮していただくことが市民の利益にも適うと考えるが、高崎社協の自立性について、市の考えをお聞きしました。

(考察)

 高崎市社会福祉協議会の自立性についての認識は共通しているようです。御答弁にありましたとおり、さらに連携を図っていただきまして、高崎市社会福祉協議会らしさを大いに発揮して地域福祉を潤わせていただけるよう、市からも積極的な支援を要望しました。