「明日の高崎」荒木征二

高崎市議会議員・荒木征二の日々を書き連ねています。

12月定例会・一般質問

 すっかり更新が遅れてしまいました。忙しさにかまけて活動発信できていないことを猛省しております。新年のご挨拶も粗相してしまいました。今年はもう少し筆マメになること、これが本年の抱負となりそうです。

 さて、すでに年も明けてしまっていますが、昨年12月の定例会におきまして、荒木も一般質問に登壇しております。例によって質問内容をダイジェスト掲載させていただきます。

 今回、ひとり親世帯の件について、いまいち踏み込みが足りなかったと反省しておりまして、このテーマについては、これからも研究を進めまして、再チャレンジしたいと考えております。

 

テーマ1「障害者雇用について」

 

質問1「本市の障害者就労に関する支援について」

 障害は大きく3つに分類することができますが、定量的に数で把握できるものとして、それぞれの「手帳」の所持者数でみてみます。まず、一番多いのが身体障害者手帳をお持ちの方で、12,000人弱となっています。近年は漸減傾向ですが、これは本市自体が人口減少傾向ですので、これの見合いの結果なのだろうと思います。

 ついで療育手帳をお持ちの方が2,600人ほど、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの2,300人ほどとつづきまして、市全体で17,000人ほど、何かしらの障害をお持ちで手帳を所有している方が本市に在住しています。また、これらの手帳をお持ちの方のほかにも、いわゆる発達障害を含めて、手帳を持つほどでないけども、何らかのハンディを負っている方も多くいらっしゃいますので、その実態はもっと大きな数字になるのだろうと思います、今回は、なにかしらのハンディを抱えた方の就労について、本市におけるハンディを抱えた方の就労に関する支援の状況についてお聞きしました。

 高崎市の実態を把握できませんでしたので、県全体の傾向としてみますと、令和4年に発表された資料によりますと、群馬県全体で雇用されている障害をお持ちの方は、のべ6,313人と発表されています。また、これも県の統計資料を調べますと、3種類の手帳の交付数がおよそ9万となっております。年齢もそれぞれのお持ちの症状の程度なども度外視して、ちょっと乱暴な数字を単純に出しますと、就労率は7%ほどという結果になります。

 大変難しくてナイーブなところなのですが、障害をお持ちの方で現在就労されている6,000人のほかに、就労を希望しているのだけれど、それが適わないという方がおそらく数多くいらっしゃるのだろうと思います。私たちのもとに寄せられる声は、そのごく一部なのですが、氷山一角で、現実には多くの方が悩んでおられると想像することができます。

 私は、国が「障害者雇用促進法」によって障害者雇用を推進する姿勢は評価していますが、全体労働者数を母数として算出する法定雇用率にだけ着目するのは危険だと思っております。健常者の就労率に比べて、10%に満たない障害をお持ちの方の就労率にもしっかりと目を向けていくべきなのだろうと思いますし、健常者と障害をお持ちの方との間に就労機会の隔たりがあるとすれば、それを極力取り除いていくことが、本当の意味での障害者雇用対策なのだろうと考えています。

 

質問2「就労定着支援サービスなどの状況について」

 次に、就労定着支援サービスと障害者就業・生活支援センターとの連携について、現在の市の取り組み状況をお聞きしました。

 障害者雇用については、就労機会という課題と、継続という課題とがあります。就労から定着まで、ひとつなぎのご支援を継続していただくよう、市には継続してお願いしていきたいと思います。

 もう一点、指摘しておきたいのが、賃金格差についてです。こちらは、厚生労働省の調査「障害者雇用状況の集計結果」から知ることができます。公開されている集計表が少し古いのですが、平成30年の調査結果をみますと、それぞれの月額賃金は、身体障害者が21万5000円、知的障害者が11万7000円、精神障害者が12万5000円となっており、今回は触れておりませんが、発達障害者は12万7000円という結果となっています。どれだけの期間、継続しても賃金がなかなか上がりにくい構造的な問題もあって、そこも就労継続の一つの足かせになっているのではないかと考えています。

 

質問3「本市の雇用率の目標と、就労機会について」

 地方公共団体である本市にも当然、法定雇用率がさだめられていますので、本市の状況についてです。

 多くの自治体がそうであったように、本市も平成30年に発覚した法定雇用率の不適切な計上では見直しに迫られ、実際には厚生労働省の定める基準に照らして雇用率を達成していなかったことが明らかになった経緯があります。その後、市では「障害者活躍推進計画」を定めまして改善に努めていただいているはずですが、この計画期間における達成目標と、現在の雇用率の状況について、お聞きしました。

 また、本市の業務における、障害者雇用の門戸を広げることについて、市のお考えもお聞きしました。もちろん、法定雇用率を達成することがまずは今、必要であり、求められていることであるのは承知しています。が、民間と公共で、それぞれ法定雇用率を達成していても、それでも就職できないという障害をお持ちの方の声があるのが事実です。

 そこで、市には法定雇用率を達成したから大丈夫ということでなく、もう少し高みを目指していただいて、それこそ市内の事業所に範を示していただけないかと思っています。

 市の業務でも定型的な業務などは、もう少し障害者雇用に門戸を広げられるのではないかと思います。また、コロナを経て、今はオンラインでさまざまな仕事ができるようになりました。障害があって毎日の通勤はできないけども、パソコンワークやデスクワークは得意という方もいるはずです。ですので、テレワーク勤務者として障害をお持ちの方を雇用するなども、今なら十分に現実的な話なのだろうと思います。市においては、引き続き国の動向を注視していただき、障害者雇用を含めた福祉の推進をお願いしたいと思います。

 

テーマ2「ひとり親世帯について」

 

質問1「ひとり親世帯になった事由について」

 いま、3組に一組が離婚すると言われている時代です。たしかに、市の統計資料を見ますと、令和3年度の婚姻届出件数1,525件に対し、離婚届出件数は593件ありましたので、見かけ上はそういう話になるのだろうと思います。実際には、婚姻世帯の3つに一つが離婚すると単純にはならないのですが、離婚件数はピークを越えたようですが、なかなか減らないというのが実態となっています。今回は、数が圧倒的に大きいということと、比較すると生活困窮が著しいということから、ひとり親世帯でも母子世帯を念頭に置いて、いくつか質問してみました。

 母子世帯は、そのほとんどが離婚と未婚で占められています。厚生労働省の調査によりますと、わが国で、離婚により母子世帯になったときの末子の年齢は平均して4.5歳です。5歳以下の未就学児がいる状況が全体の約7割、就学してもまだまだ心配な小学2年生までの子のいる状況となると、全体の8割に達します。母子世帯の母親の有職率は94%と高いのですが、母親の就労収入は平均して236万円となっています。これに、児童扶養手当をはじめとする公的支援が入って、なんとか家計を支えているというのが実態ではないでしょうか。

 子どもの養育がとても大変な状況では、母親の就労環境はとても厳しいことは容易に想像することができます。昨日も市のご答弁にありました通り、この国のひとり親世帯の相対的貧困率は44.5で、全体の15.4%を大きく上回っています。

 

質問2「児童扶養手当と母子父子寡婦福祉資金貸付金の状況について」

 ひとり親世帯の主要な公的支援として、児童扶養手当がありますが、この支給状況と、母子父子寡婦福祉資金貸付金の利用状況についてもお聞きしました。本市におけるひとり親世帯の実数は、数字の捉え方が難しく、正確に把握することが難しいのですが、群馬県が公表している調査報告によれば、高崎市における母子世帯数は2,800世帯ほどとなっておりますので、児童扶養手当が多くの母子世帯の公的支援となっていることが分かります。また、制度としては給付型にニーズが移行しつつあるとお聞きしましたが、福祉資金もかなりの助けになっているようです。

 

質問3「ひとり親世帯の相談窓口について」

 各種の調査結果を見てみますと、母子世帯の多くが、養育にまだ手間と時間がかかる子がいる状況で離婚することとなり、おそらく時間の制約が主なものではないかと思いますが、ほぼ半数の方が非正規雇用で働いていて、限られた就労収入に公的支援を加えて、かろうじて家計を成り立たせているというのが現状ではないかと私は考えます。

 こう考えたときに、子の養育費というのがとても大きな存在になってくるのだろうと思います。群馬県の調査結果によりますと、「養育費の取り決めをしてあり、その通り受け取っている」世帯は母子世帯全体の26.9%しかありません。「取り決めたが、決めた額より少ない額を受け取っている」世帯が6.8%、「取り決めていないが任意に受け取っている」世帯が0.9%ありますので、少なくとも受け取れている母子世帯は全体の34.6%ということになります。

 最も多い状況は「取り決めておらず、まったく受け取っていない」世帯で、36.7%となっています。取り決めをしなかった理由は、「相手とかかわり合いたくなかった」が最も多く、「相手に支払う意思がないと思った」などの理由が続き、うなづける部分もあるのですが、「取決めをしなかったことを後悔している」世帯が27.8%ありまして、やはり、ここに母子世帯の相対的貧困の改善の糸口があるのではないかと私は考えています。

 それと、これは国の調査結果なのですが、養育費の取り決めをしていない世帯と、その母親の最終学歴は相関関係がみられまして、いわゆる貧困スパイラルの解消の面からも、親の義務である養育費をきちんと受け取れる状況をつくっていかなければならないと思います。

 私は、多面的に手を差し伸べる意味から、女性サポートの観点も重要と考えています。と言いますのは、いまだに誤解もあるようですが、養育費の取り決めは離婚してからでも取り決めすることができるからで、離婚から冷静になってから考えても遅いことはないからです。ひとり親になって落ち着いて考えられるようになってから、養育費のことを考えても良いわけですので、そうした意味から現在の市の女性相談・女性サポートの視点が重要になってきていると考えています。

 

 まだまだ議論が必要なテーマです。私自身も研究を進め、一歩でも母子世帯の相対的貧困改善に向けて歩みを進めていきたいと考えています。

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