「明日の高崎」荒木征二

高崎市議会議員・荒木征二の日々を書き連ねています。

6月定例会一般質問

 今年の6月は梅雨らしく雨続きで、じめじめした日々が続いております。私も雨が続いて街頭に出にくかったり、地域を歩きにくかったりと少々フラストレーションを感じています。が、梅雨があけて暑くなればそれはそれで過酷ですので、涼しい今のうちにできることはやっておこうなどと考えています。

 さて、6月は定例会の時期です。今年も6月8日に予定通り開会となりました。そして、今定例会も私は一般質問に登壇いたしました。通告した質問項目は2つです。1点目は「子ども・子育て支援について」として保育士と学童支援員の処遇改善などにふれました。2点目は「終活登録について」として、死後に不安をかかえる方々への行政サービスとして高崎版終活登録の導入を提案しました。質問の骨子は下記の通りです。長文ですが関心ある方はご覧いただければと思います。

 

(通告)「子ども・子育て支援について」

質問1-1 保育士配置基準について

 保育士配置基準は子どもの人数に対して必要な保育士の人数をさだめた基準です。国が最低基準を示すもので、1950年代では乳児10人に対して保育士1人配置という今では考えられないような驚くべき基準でしたが、その後度重なる改訂を経て改善が進められています。

 改善は進んでいますが、この配置基準はあくまで「最低基準」であり、保育の質の向上が求められる中では、さらなる改善を求める声が大きいところです。

 内閣府では教育施設や保育施設等で発生した事故について毎年とりまとめて公表しています。直近の報告書によると令和2年度で認可保育所だけでも1081件の事故が発生し、うち1件は死亡事故であったとのことです。全国に認可保育所が2万3千ほどあるそうですから、20施設に1件ほどの割合で重篤な事故が発生している計算になりますので、市内で発生していてもおかしくはない状況です。

 事故防止に向けてガイドラインも定められ、再発防止の努力がされていますが、背景にあるのは保育士の多忙にあると指摘されています。市内の保育所のなかには独自の経営努力で手厚い保育士配置に努めているところもあるかと思いますが、市としてこうした保育所にどのような対応をしているか、確認しました。

 また、保育士の多忙感解消のため配置基準の見直しが議論されています。保育士確保の難しさはありますが、安全安心の子育ての実現のため、市条例の配置基準の見直しを提案しました。

 

質問1-2 放課後児童クラブについて

 続きまして放課後児童クラブの支援員等の待遇についてお聞きしました。国の対策により、保育士等と同様に支援員等の処遇改善が図られたところです。高崎市内の放課後児童クラブの多くは運営協議会形式をとっていますが、こうした運営形式の放課後児童クラブの支援員等に対して、市としてどのように対処しているか確認しました。

 

質問1-3 ひとり親世帯の保育料について

 市内の放課後児童クラブの多くは運営協議会方式で、それぞれが規約をもうけて保育料の徴収をしています。ひとり親世帯で日々の生活に苦しんでいるご家庭も少なくなく、いま一歩の保育料の割引を求める声があがっていますので、ひとり親世帯に対する割引の拡大を提案しました。

 

(通告)「終活登録について」

質問2-1 引き取り手のない遺骨について

 本格的な少子高齢社会となり、本市においても単独世帯が増加傾向にあります。例えば2020年実施の国勢調査報告によりますと、高崎市の65歳以上で単独世帯であるという方、つまり独居高齢者の方は18,696世帯あります。これは前回調査2015年では15,493世帯でしたから、わずか5年間で3,203世帯も増えている状況となっています。ちなみに国勢調査でいうところの「高齢夫婦世帯」については、2015年の17,998世帯から2020年には19,997世帯と、1,999世帯の増加となっています。

 「おひとりさまの終活」といった言葉もよく耳にするようになりました。単独世帯あるいは夫婦のみ世帯でいずれは単独になると見込まれる方の人生最終盤の不安は決して小さくはないと思います。例えば、夫が先に死亡して、その遺骨の埋葬先を知っている唯一の人間の妻が死亡すると、墓の位置がわからず、やむえず福祉火葬されてしまうというケースもあるようです。

 このように、高齢単独世帯が増え続ける社会情勢の中、いわゆる「終活」がうまく運ばれずに、本人の意思とは違うところで「引き取り手のない遺骨」となって人生の最期を迎える方がこれから増えてくるのだろうと思います。

 まず、本市における「引き取り手のない遺骨」の現状を確認しました。

 

質問2-2 高崎版終活登録について

 現在ある「ご遺族支援コーナー」は市民に好評ですが、こちらは身近な人を無くした近親者や遺言執行者といった方々に対するサービスであり、成年後見制度は本人が死亡すると自動的に終了してしまう絶対的終了規定があります。

 いま課題となっているのは本人の死後の世界の話で、こうした既存の制度の隙間にあるニーズです。「自分のことはなんでも自分でやる」と頑張ってきた方であっても、死後のことは如何ともしようがありません。それでも、死後も自分らしく整えたいというのは人の自然な願いなのだろうと思います。

 本人に経済的余裕があれば、行政書士や司法書士といった専門家と見守り契約や死後事務委任契約を結んでおくという手立てもあります。ただし、こうしたサービスも本人死亡がすぐさま伝わりませんと、受任者が死亡を知らないまま経過してしまう恐れがあります。

 そこで、本人が元気なうちに希望する終活に関する情報を市に登録しておき、万が一の際に市が、登録した情報にしたがって本人に代わって連絡をする、終活登録の導入を提案しました。

 行政にとってもメリットは大きいものがあります。市が終活情報を保管しておくことで、警察や消防、病院などからの問い合わせに終活登録の有無を回答することができ、身元判明の時間と手続きを大幅に省略することができます。

 さらに、死亡届と連動することができれば、より実効性の高い仕組みにすることができると思います。このような高崎版の終活登録に取り組んでいただきたいと思い、導入を提案しました。