「明日の高崎」あらき征二

高崎での日々をつれづれなるままに書き連ねています。

読書メモ「不連続殺人事件」/坂口 安吾

 

不連続殺人事件 (角川文庫)

不連続殺人事件 (角川文庫)

 

 

 「不可能犯罪捜査課」のお口直し(失礼!)に選んだのがこの一冊。ディクスン・カーと同じ、1906年生まれの坂口 安吾の作品で、タイトルのとおり推理小説です。彼らの当時は、推理小説というジャンルは確立していなくて、探偵小説とくくられていたようですね。

 

【心理トリック】

 さて、この作品。トリックを解き明かして犯人を探るというミステリーの本道は外れていないのですが、そのトリックというのが、心理トリックという事で、登場人物がとる行動、その行動の裏にはたらく心理というものが、犯人特定に至るトリックになっています。

 

【定番の舞台設定】

 そして、舞台設定は定番ですね、山間の村はずれの僻地にある大邸宅です。まぁ、定番といっても、このころの作品がこういった設定の先駆けという事なのでしょう。(1947年作)

 ちなみに横溝 正史の「獄門島」も同時期の作品です。あちらは正真正銘の名探偵で、こちら「不連続殺人事件」では、素人探偵(すくなくとも、職業としていないようです)が謎解きするということで、対照的です。

 そして、少し古い作品のよさは、携帯電話がないこと。この作品だと、電話すらない! 携帯電話なんかなくても、人々はしっかりとコンタクトを取り合って、ちゃんとコミュニケーションを取り合って、ちゃんと殺人(苦笑)までしている。なんか、そこの段取りが携帯電話で済まされる、今時のミステリーとは雰囲気が全然違うんですよね。なんか、センチメンタルというか。

 

 食料とかどうやって調達しているのかな、とか、みんなどうやってお金稼いでいるのかな、とか、宿代って請求されるのかな、とか、いろいろな?? はあっちに置いていて、舞台設定を素直に受け入れる事が、この手のミステリーを読むときの掟です。なんたって、家主は大富豪、セコイ事考えずによむべし。

 

【登場人物の多さ!】

 この作品、登場人物の数かすごく多い。死亡する人物だけで8人。あと、生死不明が1人。僕はちゃんと数えなかったのですが、ネット情報では登場人物は24人にもなるそうです。少なくとも重要そうな人の、16人くらいはちゃんと名前を覚えておかないと読み進められないので、結構大変。名前覚えるのが苦手な人は、人物相関図つくりながら読む事をお勧めします。

 

 

 読後感はとってもいい!(反動からか) 本当にミステリーが好きな作家が、丹精込めて書き上げた作品だということが素直に伝わってきます。古い作品なので、既読感も随所で感じられるのですが、「こっちが元祖!」と頭の片隅に置きながら読めば、まったく問題なし。

 久々に良質なミステリーを堪能しました。