「明日の高崎」荒木征二

高崎市議会議員・荒木征二の日々を書き連ねています。

市議会定例会報告(一般質問)

 総括質疑に続いては、こちらは毎議会で欠かさない一般質問です。先日の総括質疑は前年度決算に対する内容に限定されていたのに対し、一般質問はそのもの一般的なことを質問できるので、あらゆることをテーマにすることができます。

 

 今議会もコロナ対策として、議員一人当たりの発言時間が制限され、30分以内ということでやりにくさも感じましたが、「公共交通」をテーマに質問しました。

 

 先日は、国内のベンチャー企業が空飛ぶクルマの実証実験に成功しているとニュースになっていました。いよいよクルマが空を飛ぶ時代が近づいているのかもしれません。各地で自動運転の実験も進んでいます。県内でもお隣前橋市がとても意欲的で、現に営業路線で自動運転バスが実験走行するまで進んでいるそうです。

 

 クルマが空を飛ぶ、脱化石燃料して無害化する、そして自動運転となる・・・ どれも明るい兆しで、一人一台のマイカーをもっていることは決して無駄でも非効率でもない時代が来るのかもしれません。しかし、今を生きる私たちの日常にとって、公共交通はやはりとても大切で、市民の足として選択できる公共交通があるのとないのとでは、生活の質に大きな違いが出てくるのだと思います。それに、クルマが空を飛ぶには、もう少し時間がかかりそうですし。

 

 ということもあり、私は常々公共交通のことを考えていたのですが、いよいよまず第一弾として一般質問を構成して、本会議場で披露させていただくこととなりました。今回の一般質問は私の中では第一段階でして、折々定期的にこのテーマは取り上げて行って、一回一回と議論を深めていきたいと考えています。

 

 毎度のことですが、一般質問の様子は録画配信されていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

 

高崎市議会中継

 

 そして、こちらも毎度ですが、質問の概要を掲載させていただきます。

 

【高崎の公共交通は】

 高崎市は自他ともに認めるマイカー社会です。自動車保有率が高く、その結果、交通分担率もマイカーでの移動が非常に高くなっています。いわゆるCASEの将来性も考え合わせれば、一人一台のマイカーを持ち、どこでもマイカーで移動することは決して悪いこととも言えないが、自動車保有率と依存率が極めて高い状況はさまざまな面で失われている利益があることも事実。

 今の高崎市では、仕事をするに際しては、基本的にマイカーでの移動の他に選択肢がほぼない状況になってしまっている。市民が、仕事、教育、医療そして文化や娯楽や交流などの目的に移動したい時、マイカーに加えて公共交通を選べるような社会は、市民にとっての利益も大きい社会であるとも言えるのではないか。

 移動手段の選択肢として公共交通が選べる状況となれば、例えば一人一台ずつマイカーを持っている家庭が、一台減らそうかという発想にもなってくる。マイカーは、購入もそうですが維持するのに非常にお金がかかっています。一台分のお金を他に回すことができるだけで、家計にゆとりが生まれてくるかもしれません。

 また、公共交通利用は輸送効率が非常に高いので、発生交通量の抑制にもつながってきます。交通量が抑えられれば、道路の痛みも遅らせることができますし、なにより渋滞による経済損失も抑え、時間を大切にすることもできるようなります。わずか数ポイントでも分担率に変化がでれば、以前と変わらずマイカーで移動している人にも効能が現れてくる点でも、公共交通に期待されるところはやはり大きいと思います。

 少し古い統計ですが、2015年に群馬県が実施した県民ニーズ調査に興味深い結果がある。県外在住の若年女性(群馬県出身者)が群馬県に戻りたくない(37.2%いる)としていて、その理由のトップが「公共交通の便がわるいから(24.2%)」。ちなみに、「自動車中心の環境だから(14.0%)」となっています。

 一時期あった、消滅可能性都市の議論は飛躍している部分もあるが、地域の活力のバロメーターとして、若年女性がどれだけその地域にいるのかという視点はやはり大切なのだと思います。その点で、県外在住の若年女性が群馬をこのように見ているという点は重く受け止めるべきだ。

 

・ そこでお聞きします。公共交通については、議論百出の様相で語り尽くされた感もありますが、あらためて、現時点での高崎市の公共交通に対する考えを整理してお聞かせください。

 

【バス利用者の環境】

 バスについては路線と便数のことが常に課題となるものですが、にわかに改善することが難しいことは重々承知しています。

 一方で、バス利用者の環境についてはすぐにでも対応できるケースがある。その一つがバス停留所。市内のほとんどのバス停は専用のスペースを持たず、屋根壁がないものがほとんど。特に車社会の高崎だと、バス停でバスを待っている、その姿が好奇の目でみられることもあります。

 観音山丘陵にも、季節によって多くの観光客の方が「ぐるりん」を待っている様子をよく見かけますが、快適さと程遠い状態で「ぐるりん」を待っておられて、高崎に対してどんな印象を持って帰られたのかと想像すると、申し訳ないような、いたたまれない思いをします。

 

・ すべてとはいかないが、主要なバス停の快適性は課題ではないか? 例えば、市が胸張っておすすめしている観光スポット、比較的乗降客の大きい停留所、あるいは路線バスと「おとしよりぐるりんタクシー」の結節点など、本当に要所だけでもバス停のバージョンアップができると良いと思うが、市の考えはどうか?

 

 また、バスは遅延がつきものでこれがバス利用を敬遠する理由の一つになっている。これに対しては、ソフトウエアで解決可能で、「ぐるりん」の位置情報サービスは市民に好評。また、MaaSの一環として県が始めた「乗換コンシェルジュ」もダウンロード数を順調に伸ばしているようだ。

 いわゆるバスナビはバス利用者のイライラ解消に効果があります。利用者は、バスが遅れることにイライラするのではなくて、いつくるのか分からないからイライラしてしまうので、一度こんな思いをしてしまうと、次もバスを使おうという気になれない、悪いスパイラルに陥ってしまうのです。

 

・ そこでお聞きします。今後、市内路線のバスナビ導入に向けた市の考えはどうか?

 

 消費税増税とともにキャッシュレス時代も本格的になってきました。いまや交通系ICはキャッシュレスの一翼として完全に定着しています。キャッシュレスは統計的データを取得する上でも有効であるし、利用者にとっては小銭を用意する必要がなくなりますし、バス事業者にとっても現金を取り扱わなくて良い分、業務量の軽減につながるのではないかと思います。

 

・ 各地でご当地カードがいろいろと誕生していますが、高崎市における交通系IC導入について、市の考えはどうか?

 

【バス利用促進】

 車社会の高崎では、バスに乗ろうという発想が乏しいだけでなく、そもそもバスの乗り方を知らない人が多い。市内でもいくつかの学校で「ぐるりん」の乗車体験などを実施していると聞くが、子どもの頃からバスに乗ってみる経験をしておくことは、バスに対する心理的ハードルを下げる効果が大きいと言われています。

 

・ 学校での課外研修としてすることも効果があると思うが、例えば夏休み期間中などに小中学生にフリーチケットを配布するなども良いのではないか? 自家用車に乗り始める前に段階からバスに慣れ親しんでおくことは、ひいてはバス利用の促進につながることと思うが、市の考えはどうか?

 

 バス利用の促進は常に路線設定の課題がついて回る。欲しいところにバス路線がないというのがジレンマになっている。そうそう要望通りとはいかないことは承知している。

 

・ 民間含めて市内のバス路線のあり方について協議する場はあるのでしょうか? また、バスは鉄路との関係が重要だが、バスと鉄道事業者が一緒にテーブルにつくような場は高崎にあるのか?

 

高崎駅について】

 高崎市における公共交通の中心核は高崎駅です。これまで、東西駅前広場を再整備してきて、その機能性も高まったところですが、いまだに道半ばという感がある。せっかくあれだけの施設を整備したのですから、もっと上手な使い方ができるのではないか? いまはコロナ禍で本来の機能を発揮してないが、芸術劇場は公共交通での来訪を基本として計画されています。

 

・ これまで、高崎の玄関口は西口というのが定番でしたが、これからは芸術劇場もそうですが、東毛高域幹線道路の起点としても高崎駅東口はとても大切な施設になってくるのだと思います。このあたりの見通しについて、市はどのような考えをもっているか?

 

 また、平成18年に東西改札が取り払われてから、中央コンコースの利便性は飛躍的に高まり、相当に賑わいが演出されています。それに対し、東西自由通路は旧態のままで、改札もありませんし、寂しい感がある。

 

・ 例えば、窓の位置を下げてホームに入る電車の様子がよく見えるようにしたり、あるいはベンチなどをおくなど、中央コンコースとは差別化してこちらはこちらで通路の魅力向上を図ることは決して無駄ではないと思います。研究から始めてみてはと思うが、市の考えはどうか?

 

上信電鉄について】

 上信電鉄は高崎にとっても非常に重要な公共交通である。新型コロナの影響もあると思うが、いまでも上信高崎駅は通勤通学で1日2,000以上の乗降客があると思います。公共交通の貴重な担い手ですし、民間企業とはいえ、市としても無関心ではいられません。

 

・ 今は、営業はとても厳しいことと思うが現状はどのような状況でしょうか? また、上信再生基本方針の進捗状況はどうか?

 

・ また、上信電鉄の利用者増加は市としてメリットの大きいことです。上信電鉄の利用促進策として公共交通では古典的手法だが、パークアンドライド駐車場は一定の効果があります。もうすでに、全国で枚挙のいとまがないほど取り組み事例がありますから、先進事例に学べば十分に効果も検証可能です。市としても本気で考えてみるべきではないかと思うが、考えは?

 

【公共交通の所管】

 もともと高崎は鉄路に恵まれ、そこに平成9年に始まった「ぐるりん」を契機として市民の足としてさまざまな公共交通が行政の手で整備されてきた。しかし「ぐるりん」は市民部、「上野三碑めぐりバス」は教育部、「お店ぐるりんタクシー」は商工観光部、「おとしよりぐるりんタクシー」は福祉部と、おなじ市民の足であるが市における所管はバラバラの状況です。さらに計画中の新駅は都市整備部が担当しています。

 公共交通は市全体を俯瞰して、総体的に計画して実行していくべきものと思います。とくにバス路線は鉄路としっかりと連結して考えていかなければなりませんし、道路計画との関連も重要で、その点でも専門性が非常に高いと思います。

 中核市(60市)のなかには、たとえば交通政策課とか交通対策課といったような交通を専門とする課を持つ市が38あるようだ。かつては高崎にも交通対策課があったこともあった。

 

・ いよいよ高崎も専門課を設置する段階ではないかと思いますが、市の考えをお聞かせください。

 

 また、現在は地域公共交通会議を所管していることから、地域交通課が公共交通を所管していることになる。市民部に属するが、全国的に見ても公共交通政策を市民部が担当するケースはまれ。私の調べだが、少なくとも中核市では高崎市の他には高知市にしか確認できなかった。多くは都市計画系の部局にあり、企画系に属するケースも多い。これはごく自然なことで、公共交通関連の補助メニューはほぼ国交省管轄だし、そもそも公共交通は都市計画と親和性が高い。

 

・ 高崎も立地適正化計画を策定したところだし、これとの連携も考え、この際、交通安全と公共交通を切り離して、交通政策の所管を都市整備部に置くべきと考えるが、市の考えは?

  

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