シリーズ企画「まちのミライのつくり方」。前回の宇都宮市での開催に続いて、今回はわれらが高崎市で開催です。今回は、福岡市役所の今村 寛 氏を講師にお招きして「財政出前講座+SIMふくおか2030体験会」として開催しました。
県外からもたくさんの参加者がお越しになりましたし、民間の方ももちろん参加してくれて、賑やかに開催されました。
ぼく自身は、2015年11月に「SIM熊本2030体験会」をして以来、約一年ぶり。2回目の体験です。しかし、今回はただの体験会ではありません。なんといっても、今村氏の財政出前講座とセットになっているのですから!
【財政出前講座って?】
今回、講師としてお招きした今村氏は、前財政調整課長。予算を司る課の課長として働くうちに、同じ市役所職員でも、予算に対する見解・知識に大きな差があることに気づき、初めは福岡市役所内で自治体財政についての講座を開いたのがはじまりだそう。
他部署の職員にも予算のこと、自治体財政のことを広く知ってもらいながら、やがて出張財政出前講座として、初めは九州で、そして全国各地で自治体財政について講演されるようになったころ、SIM熊本2030と出会ったそうです。
たちまちこのSIM2030の魅力にはまり、SIM2030の持つ有用性・発展性にいち早く気づき、以来、財政出前講座とSIM2030を抱き合わせて開催するようになったそうです。
たしかに、実際に参加してみるとその良さがよくわかります。ぼくらが一年前に開催した体験会も良かったのですが、今村氏の財政出前講座と抱き合わされることで、講座も身にしみてよくわかるし、SIM2030も倍に楽しめるといった感覚をもちました。まさに相乗効果。財政出前講座とSIM2030は出会うべくして出会ったのですね。
【SIM2030のね・ら・い】
SIM2030の細かな説明は省略します。もともとは熊本県庁の自主研チーム「くまもとSMILEネット」が2014年1月に開発した、参加型の自治体運営シミュレーションゲームです。
さて、このゲーム、冠に『参加型』と銘打っている点が特徴ですし、このケームの秀逸なところでしょう。
このゲームに参加する人には誰ひとりとして傍観者はいません。全員が参加者になるのです。だからこそ、この時間はその会場にいるすべての人が自分事としてゲーム参加するのです。今回も運営スタッフは4人いたのですが、今村氏からあらかじめ言われていたことは、スタッフ含めて、全員がゲームに参加する事! でした。たしかに、全員で参加する事が大切なのですかね。
参加の促しも秀逸です。このゲーム、ターン制になっているのですが、毎ターンごとにシナリオが配られます。これをグループの全員が(役が決まっている)声を出して読み合せするのです。つまり、発声する練習をこのシナリオ読み合せでしておくのですね。ターン開始前に毎回、シナリオを読んでいますので、みんな発声の準備は済んでいて、ゲーム開始とともに滑らかに話し合いが始まる、という具合です。
そして、ゲームで進めるために必要なスキル、それが『対話』です。このゲームをしっかりと進めていくためには、同じグループ内での対話が不可欠です。当たり前といったら当たり前です。しかし、ゲームだから当たり前にできる、という事だけではないのです。
実際の現場(たとえば予算編成)でも、自分たちはしっかりと対話ができているか、ひるがえって我が身を見つめ直す事ができます。我がまちの財政状況が思わしくないと思ったら、どうも部局間の対話がなかったようだと、気がついたり。
このゲームでグループ内で対話をしっかりとする事、そして、対話からちゃんと我がまち(ゲーム上の)の自治体経営をシミュレートできたという体験から、改めて行政内部における対話がいかに重要であるかに気がつく。これがとても大切なのです。
このSIM2030から得られる、発見、知識、気づきのうち、もっとも大きな成果は『対話の重要性に気がつく』ではないでしょうか。
【メッセージ】
さて、今村氏からは短い時間のなかでも、たくさんのメッセージをいただきました。ここで事細かに披露してしまうわけにはいきませんので、ぼくなりに拾い上げたエッセンスを2つだけ紹介します。これに解説まで付けちゃうと美味しいところ取りみたいになってしまいそうですので、知りたい人は財政出前講座に参加してみてはいかがでしょうか!
・スクラップ&ビルドから、ビルド&スクラップ
・財政健全化は過程であって目的ではない
ちなみに、次回の「まちのミライのつくり方」は、年明け栃木県小山市で開催予定です。