「明日の高崎」あらき征二

高崎での日々をつれづれなるままに書き連ねています。

議会活動報告(2019.8)

 高崎市議会議員としての1期目が3ヶ月経過しました。この間、定例会を1回、常任委員会を3回経験しまして、あらためて学ぶべきものの多さを痛感しつつ日々を過ごしています。

 

高崎市議会での活動状況】

 高崎市議会においては、市民系・労組系会派である「市民クラブ」に加えていただきました。主として労組出身者で構成される会派であることから、気兼ねなく働く環境改善に真正面から取り組むことができています。

 また、常任委員会については志願しまして「教育福祉常任委員会」に加わらせていただきました。

 

【教育福祉常任委員会では】

 高崎市議会の「教育福祉常任委員会」の所管調査項目は下記のとおりで、(6)、(7)を別とすると実質5点あります。

 

(1)社会福祉の充実及び施設の拡充について

(2)保健衛生の向上について

(3)介護保険の運営について

(4)教育の振興について

(5)教育施設の整備促進について

(6)各支所に係る所管部分について

(7)その他本委員会の所管する事項について

 

 読んでいただいてわかる通り、所管調査項目はいずれも教育あるいは福祉の充実運営と施設整備促進に係る項目ばかりです。もちろん、いずれも高崎市の教育と福祉の充実に必要な視点であるわけですが、私の役割はそこに、『教育あるいは福祉現場の担い手の働く環境』に視点を向け、光を当てていくことにあります。

 現時点ではまだ、3回開催されたところですが、毎回しっかりと発言させていただいています。これまでのところ、教育現場、福祉現場の実情から私が把握できているところで課題を取り上げ、常任委員会で発言させていただいている程度です。これからは一歩進めて、常任委員会として踏み込んだ調査・議論ができる課題を提案していこうと考えています。

 

常任委員会での調査テーマ】

 特に福祉分野は課題山積という状況で、どこから手をつけていけばよいのか見当もつかない状態です。働く環境改善と並行して考えているところで一つ、緊急性が高い課題として「ひきこもり」に焦点をあてていこうかと考えています。皆さんもご存知の通り「ひきこもり」は大変根の深い問題です。「ひきこもり」という言葉を世に知らしめたのは(諸説あると思いますが)、1998年のころと言われています。PHP新書から「社会的ひきこもり」という書籍の刊行がきっかけとされています。その後、2004年頃には「ニート」という概念も登場してきましたが、本稿では不登校も含めて汎く「ひきこもり」という文言で進めていくことにします。

 さて、「ひきこもり」といったとき、問題点はどこにあるでしょうか? 「ひきこもっている」その状態そのものが問題と考える方も多いでしょう。就労できず収入がないことで問題も多く発生します。7040問題とか8050問題として、国でも問題認識されています。たしかに就労できないという事実は、当事者とその家族の将来の不安も含めて深刻な問題であると思います。しかしもう一方で、私は大きな問題を孕んでいると考えています。それは、「ひきこもり」に対する差別意識という問題です。

 2000年に起きた西鉄バスジャック事件を発端に、その後に起きたいくつかの凄惨な事件について、加害者と「ひきこもり」が紐づけられて報道されるケースが続出しました。今年も5月にやはり痛ましい事件が発生したのは記憶に新しいところです。年間を通じ、そして全体を通じて見てみれば決して多くはない、むしろ稀なケースと言っていいはずです。ですが、印象的であるためか世間に与えた影響は大きく、「ひきこもり」と事件を紐づけて認識されてしまうことが非常に多くなっています。

 良識ある識者も訴えていますし、今年5月にあった事件に対して厚労大臣がコメントしている通り“安易に結びつけることは厳に慎むべき”であると私も考えていますが、あまりにも世間に根付いてしまったイメージが深刻すぎます。

 そのような世間のイメージを背景として「ひきこもり」の問題はますます深刻化し、そしてなにより潜在化が進んでいるのではないかと危惧しています。先にあった教育福祉常任委員会において、高崎市の「ひきこもり」に対する市の認識を問いましたところ、やはり実態の把握が甚だ困難であるという認識を持っていることがわかりました。予想はしてはしましたが、あらためてこの問題の難しさを痛感しているところです。

 

 内閣府が2010年2月に実施した「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」によると,「ふだんは家にいるが,近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが,家からは出ない」「自室からほとんど出ない」に該当した者(「狭義のひきこもり」)が23.6万人,「ふだんは家にいるが,自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」(「準ひきこもり」)が46.0万人,「狭義のひきこもり」と「準ひきこもり」を合わせた広義のひきこもりは69.6万人と推計されています。【出典:内閣府「子供・若者白書 H27」】

 

 この内閣府調査結果を踏まえると、乱暴な推計ではありますが、高崎市の15~39歳人口97,387人(令和元年7月31日現在)にこの有効回収数に占める割合を乗じてみれば、およそ1,700という数字が得られます。高崎市全人口の0.4%という割合になります。この数字が大きいか小さいかは別として、「ひきこもり」の高齢化も進んでいるわけで、何も「ひきこもり」=子供・若者、という図式はすでに成り立たなくなっています。この内閣府調査は15~39歳を調査対象としていますが、7040問題、8050問題と呼ばれているように、「ひきこもり」が長期化し、「大人のひきこもり」が増加傾向にあることもまた、近年指摘されています。

 以上のことから、この推計値を上回る「ひきこもり」当事者が高崎に存する可能性も十分にあるわけです。

 

 現時点では、行政から「ひきこもり」当事者に、あるいはそのご家族に対して主体的に関わっていくことはとても難しいことだと思います。前述の通り、まずその実態を行政が把握することが難しいからです。また、仮に実態を把握できたとして、「ひきこもり」に対する解決策・相談体制が確立されていない状況で誤った手当を講じる間違いを犯すわけにはいかないでしょう。だからと言って、行政として打ち手が全くないわけではありません。「ひきこもり」の状態に苦しんでおられる当事者、あるいはそのご家族から行政に対してSOSが発せられた時、高崎市としてどのような対応をとることができるかに、行政としての高崎市の真価が問われると考えています。

 非常に根深い問題でありますので、一朝一夕に解決策が見出せることはないと思いますが、考え続けていかなければならない問題ですし、議会からもしっかりと後押しすることが必要と考えています。

 私は、教育福祉常任委員会で「ひきこもり」の問題と課題に光をあて、焦点化を進めていきたいと考えています。

 

高崎市議会の課題】

 高崎市議会自体が抱えている問題は先日、外部評価によって的確に示されています。早稲田大学マニュフェスト研究所が今年6月に発表した議会改革度調査2018ランキング(中核市)にて、高崎市議会はついに不名誉な最下位(53位)となりました。近年は40位台を彷徨っていましたが、ついにの印象です。非常に不名誉なニュースです。調査結果についてはこれから詳しく分析していかなければならないと考えていますが、あくまで個人的な印象ですが、高崎市議会が後退したというより、全国の中核市レベルの議会が軒並み前進している中で、高崎市議会だけが停滞していることの現れではないかと考えています。

 議会改革も言うが易しで、取組みは困難を伴います。理想論や綺麗事ではどうにもなりません。また、手法・手段によっては経費もかかる面もあります。それでも敢えて言わなければならないのは、社会がこれほど変わっていく中で、高崎市議会だけが安穏と変わり映えしないというのはむしろ不自然だということです。早稲田大学マニュフェスト研究会の評価が全てではありませんが、変わりゆく社会の情勢に応じ、要請に応え、議会も常に自らを更新していくことが必要です。そうでなければ、市民からの信託、そして期待に応えられなくなります。

 なにも、議会基本条例をつくって、意見交換会して、議会での討議・反問・反論の仕組みと整えてと、マミュアル通りの「改革」をすることばかりが正しいとは考えていません。なにしろ、38人も議員がいれば、考え方も38通りです。しかし、自らを省みること、そして自己改革に無関心であれば、それは言うなれば『議会力』の低下につながります。『議会力』の低下はすなわち、議会軽視にもつながってきます。

 私も市職員として経験があるのでよく分かりますが、市政サイドとしては『議会力』が高いと、政策・施策の遂行に少々手こずることになります。市政サイドは、できたら議会対応は穏便に済ませたいところでしょう。市職員出身である私がそれでも敢えて議会改革を訴えていかなければならないのは、繰り返しになりますが、自らを更新していく議会でなければ市民の期待と信託に応えることができないと考えるからです。

 諸先輩方が果敢に取り組んでなお、突破口の見出せない厳しい状況ではありますが、微力ながらこの問題に取り組むことの大切さを訴え、少しでも市民の期待に近づけるよう努力していきたいと考えています。

 

【今後の活動方針】

 1期生で1年目の新人議員であるにも関わらず、ありがたいことに日々市民の方々からご相談をいただいています。相談の内容は多種多様で、プライバシーにも関わることですので詳しく紹介することはできませんが、本当に勉強させていただいております。

 一つ気が付きますのは、問題解決の見通しの立ちやすい案件もあれば、解決困難な案件もあることです。数々の相談案件の中で、解決が困難でありながら、これから案件がどんどん増えていくだろうと予想できるものがあります。どんな問題か、分かりますか?

 それは、「空き家」問題です。「空き家」といっても、「空き家」には大きく2つの種類があります。ひとつは古民家再生だとか、リノベーションだとか、前向きのとらまえることができる「空き家」です。人口減少に真剣に取り組んでいる自治体などが空き家バンクを設置したり、移住・定住政策と空き家を紐づけたり、中心市街地活性化と空き家を紐づけたりと、いろいろと事例はあるかと思いますが、行政としても主体的に取り組みやすい面がある「空き家」です。資産価値がある、あるいは今はなくても付加価値を期待できる「空き家」たちです。

 問題は、そうではない方の「空き家」です。住人が去って永年放置され荒れ果て、朽ち果ててしまった「空き家」たち。そもそも、居住していた段階でさまざまな問題を孕んでいて、その後に「空き家」となったもの。保存登記もされず、建築基準法都市計画法など、さまざまな法規制に適合しないまま経過してきた「空き家」。これらの「空き家」が地域社会に与える影響はとても大きいものですし、近隣住民の方が感じる心的ストレスも非常に大きいものです(そして、往々にして遺産分割協議のテーブルにも載ってこない)。

 ところがこのような「空き家」も当然のことながら民法が規定するところの財産です。朽ち果てて、いつ倒壊してもおかしくない状態のもの。管理されず、シロアリの巣窟となっているもの。草や実生の樹木が繁茂し蚊や鳥獣の発生源となっているもの。なにより、景観を損ない、地域住民の治安を脅かしているもの。これら「空き家」の対策こそがこれから重要な施策となってくることでしょう。相続の対象とされず、未登記のままの「空き家」は時間が経てば経つほど解決が難しくなってきます。国でも特措法を施行したりと手立てを整えつつありますが、まだ不十分です。「空き家」の解決には、当該物件の所有権に関わる人々だけでなく、場合によっては近隣地域の力も必要となってきます。

 これから「空き家」に関する事例を経験していく中で、私も知識と経験を積んで、私なりの解決策を模索してまいりたいと考えています。

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 以上、雑事も含めて諸々を私の議会活動の近況と当面の課題を紹介させていただき、報告させていただきます。

 これからも地域の課題の発見と解決策の模索に励んでまいりたいと思います。引き続き皆様からのご指導・ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。