7月にあった「たかさきbiblioミーティング」で奇跡的に福bookに選ばれまして、前回チャンプ本としていただきました「路 -ルウ-」を読了しました。
(たかさきbiblioミーティングをご存じない方には何が何だかさっぱりわからない文書だと思うんで、読み飛ばしてくださいね)
読中の感触は、読みやすくて読み飽きない。飛ばし飛ばしに読んでいても、時間をおいてページをめくっても、だいたいそこから着いていけるという感じで、変な重みもなくて肩も凝らない本ですね。個人的に一番心にしみたのは、南の島への郷愁みたいなものです。この本、台湾の風景や生活、気候風土などがしっかりと描写されているのですが、そのくだりを読んでいると台湾の光景が目に浮かぶようで、なんだか懐かしいような不思議な感触が芽生えます。
【帰ると戻る】
それと作中で、台湾で生まれ、台湾で育った日本人が、戦後60年を経過して台湾に旅行するシーンがあるのですが。その時その人が、台湾に行くのではなく、台湾に戻ると表現しています。
ちょうど先日、飯舘村に行った時に聞いたある方のお話が頭に浮かびます。その方は、全村避難が解除になったとき、「村に戻る」のではない! 「村に帰る」のだ!!とおっしゃっていたそう。にわかには??ですよね、戻ると帰る。どこがどう違うかわかりますか?
辞書にはどう書いてあるかわからないのですが、その方曰く。戻る、という場合は何かの理由でその場に居続けることができずに外に出た人が、許されて戻る、というニュアンスで使うのだそうです。
たしかに、「やっと戻れた」というと、なにかしらほとぼりが冷めたんだな、という感じがします。
「やっと帰れた」の場合は、帰りたかったんだけど予定が合わなかったとか、自分の都合でいつでも帰れたのに今になって帰った、という受け止め方がされますね。
「帰ってきたウルトラマン」は、なんだかありがたい気がします。「戻ってきたウルトラマン」だと、このあとなんか嫌ことが起こりそうな気配がしますね。
これを踏まえて話戻すと、この作中で台湾に「戻った」登場人物の場合は、たしかに「戻る」が正しいのかもしれません。なぜか、それは読んでもらいたいところですが、つまりその人の中で自分で築いてしまった心のしこりが減容して(最近おぼえました)、台湾に戻ることができた、というわけなのだと解釈しました、僕は。
皆さんはどう読みますか??